TwinTowerTours (a)

ツインタワーズがおくる、槇原敬之(ほぼ)全曲レビュー ライトあるみのブログ

6.てっぺんまでもうすぐ

初めてのキスは特別。
若かりし頃、少女漫画大好きっ娘(こ)だった私は、その時の事を夢想しては大きなため息をついたものです。

オフ会でも話したのですが、「てっぺんまでもうすぐ」はちょっと深い記憶がありまして…。
マッキーを知ったのは「どんなときも。」ですが、アーティスト槇原敬之の才能を初めてぐっと感じたのはこの曲…かもしれません。

高校の頃の『放課後』
クラスメイトがてんでばらばらにわかれる、あの時間。
バイトに行くためにいそいそと家路につく子もいれば、電車の時間調整のためとか、友達と離れがたくて用もないのに教室に居残っている子がいたり。
…学校に行ってるからこその、何とも形容しがたい不思議な時間だったな、と今になって思います。
フワフワと霞がかった…もしくは薄いベールに覆われたような。何からも解き放たれたようでいて、がっちりと守られている。

時間も夕暮れ時。
「てっぺんまでもうすぐ」と同じく、光の魔法がかかっている時間帯。

生徒達の色んな事情全てをまるっと抱え込んだ、それが放課後、です。
そんな放課後に、私は「てっぺんまでもうすぐ」と出会いました。

いつもは部活をやってる子がメンバーに入っていたので、今思い返すにあれはテスト前だったのかな。
なぜ、呼ばれたのかも覚えていませんが、隣のクラスの女の子達の元に遊びに行くと、4人がニコニコしながらウォークマンから流れる音楽に耳を傾けていました。
いえ、正確にいうと、二人ずつ交代ばんこでイヤホンの片側を回して音楽を聞いていたのです。
ウォークマンにスピーカーがついていなかったのか、はたまたまだ教室に残ってる他の子に遠慮したのか。
不思議な光景ではあるけれど、でもみんな満面の笑みで軽くため息をつきながら、うっとりとしています。

何を聞いているのかと私が聞いたのかな。
もしくは聞かずとも、じっと見つめていた私に、ウォークマンの持ち主が貸してくれたのかな?

片耳イヤホンで、そっと確かめてみた時に流れてきたのが「てっぺんまでもうすぐ」でした。

「めっちゃ良い曲やと思わへん~?」
4人とも、身もだえしながらこの曲の良さを語ってくれました。

「こんな恋がしたい!したいよなぁ~~~!!!」
きゃあきゃあ言いながら夢を語る彼女達。

まだ誰とも付き合っていない乙女達だからこその夢想ですね。
何かを経験するのは楽しいし喜びですが、経験してしまえばもう二度と未経験には戻れません。

いま、彼女達はどんな人生を歩んでいるのでしょうか。
そのうちの一人とはいまだに付き合いがありますが、他の子は同じクラスになったこともない子たちで、お互いに街ですれ違っても気が付かないかも。

話が脱線しまくりですが(笑)ノスタルジアに誘うのも、このアルバムの良さかなと思うので書いてみました(笑)

レビューに戻ると。
ここで語られた観覧車、大昔の記憶では「神戸ポートピアランド」の観覧車だったんだよと槇友さんに聞いたような。
オシャレなマッキーなら、神戸選びそうで信憑性は高そう。(私の記憶の方が自信ないです^^;)
地理的にいうと、エキスポランドとかひらかたパークもありですよね。マッキー高槻の人なので。
大阪の南に住んでるものとしては、みさき公園でも良いのですが。海に落ちる夕日が綺麗だと思います(閉園してしまいました…残念)

初期のマッキーの歌詞描写は比喩に満ちていて神がかっていますが、今作も小説のように情景が浮かびます。
美しく正確な比喩はそれを経験していなくても、物語の主人公に共感できるんですね。

主人公はちょっと優柔不断な男の子。
1970年代は硬派が流行っていたと思いますが、バブルの頃から反動というか、ちょっと気弱な僕路線の作品が増えましたね。
マッキーの甘い声と風貌には、ぴったりだと思います。

今日こそは!と意気込んでる主人公の可愛い事。
相手の女の子もきっと可愛らしい子なんだろうなぁ。
そんな二人の「初めてのキス」は観覧車がてっぺんに達した時。

本当もう少女漫画の世界ですよ!
少年漫画にも二・三作品恋愛漫画はあったような気がするけれど、少女が大好物なシチュエーションですよ!!!
「りぼん」で読んだような気がするほど、デジャブ感満載。
胸がドキドキします。
からの。
最高潮でキスした後に、「きみが好きだよ」「とても好きだよ」
トドメです。
胸を撃ち抜かれて当然の歌詞ですよ。
大阪人だとずぎゅんとやられてばったし倒れるパターン。

でもよく読むとこれは心の中で想ってる言葉で、相手に言ってるわけじゃないんですね。
聞いてる方は言われた気分になるんですけど(笑)
言葉にはしない、出来ないのが、初々しいこの曲のカップル。リアルだなぁ、と。

ファーストキスを観覧車のてっぺんで済ませた人は全国で何人いるんでしょう。
その中で、槇原敬之ファンの割合を知りたいと思う私です。
我々のファーストキス幻想に一役買ったであろう、名曲。
それが「てっぺんまでもうすぐ」だと強く思う私です。

高校生の私達をはにかみながらも満面の笑顔にさせた、音楽の力に満ち溢れた作品。


もしもまだキス未経験の男子がこれを読んでいるとするならば!
是非とも、素敵で可愛い思い出を女子にプレゼントしてあげて欲しいなぁ、と強く願って筆をおきたいと思います。
(その際はちゃんと付き合ってる子に限りますよ。無理強いヨクナイ)