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ツインタワーズがおくる、槇原敬之(ほぼ)全曲レビュー ライトあるみのブログ

11. 本日ハ晴天ナリ

昨日のももたさんの記事に、宮沢賢治について書かれていて、彼女的には今曲の方がより賢治との繋がりが深いのでは?との考察。

記事はこちら

マッキーは宮沢賢治が好きと公言していましたので、なるほどなぁ、と興味深く読みました。

私は宮沢賢治に挑戦しようとして何度か失敗(笑)しており。

よだかの星」位の短編なら読めるんですけどね(青空文庫版をリンクしました。公式という位置づけで)

内容は良いんですけど、句読点のつけ方に違和感があり。私はリズムで本を読み、文章を書いているので、好き嫌いがはっきりしているのだと思います。リズムが違うと気持ち悪いと感じてしまうんですよね(ちょっと損かもしれませんが、気持ち悪いもんは受け付けない…)

なので、「雨ニモ負ケズ」とかの理解は…?だと思います。

 

だがしかし、知らないからこそ出来るレビューもあるというもの。

私視点で今日は「本日ハ晴天ナリ」を書いていきたいと思います。

 

『本日ハ晴天ナリ』

言葉を調べてみると面白いです。

元は無線用語で調整信号らしいです。

そして その日の天気に関係なく、必ず「晴天なり」 と言うそうな。

あー、あーマイクのテスト中、とかと同じなんですね。

今日は雨ふりでも晴天なり

 ここの歌詞はこういう背景もありそうです。

ではなぜ『本日は晴天なり』という言葉が調整信号になったかというと、戦後日本にやってきたGHQが放送局に入り、アメリカでマイクテストに使われていた『It's fine today』(発音が低い所から高い所まで入っており確認しやすいため使用)を直訳した、という。…理由もわからないまま直訳ってちょっと面白くありません?生真面目な日本人気質というかなんというか。

 

誰かと戦えと言われても

僕は絶対に戦いたくない

戦わないことを貫くために

死ねというなら喜んで死ぬ

 始まりの歌詞はそのまんま取ると反戦ですね。

 

後に、漫画家松本零士氏と歌詞盗作疑惑の件で法廷闘争になりましたが、その頃「マッキー戦わないんじゃないの?」という突っ込みがあちらこちらから聞こえました。

でも、そこでこの歌のように”戦わない”ことを選択していたら、第二第三の同じような話が勃発していたかもしれません。権利に関しては正しいならば主張していかなければ奪われてしまうのがこの世の常。

そう思うと必要な戦いであったと思うし、上の歌詞は『命のやり取りを伴った争い』の事を描いているのだな、と思います。

…まあこの辺りはあれですよ。個人の受け取り方の自由で良いのかも、と。

 

本日ハ晴天ナリ

僕ノ心モ晴天ナリ

 上の歌詞を受けてのサビ、と考えると、自分の選択に誇りを持った姿、でしょうか。

気持ちも考えも揺れている時は、心が晴れる事はないですから。生きる姿勢を決めてスッキリした心が晴天に繋がりますね。

 

ここでハタと気がついたのが、なんでカタカナを使っているのだろうか?という事。

宮沢賢治に通じるのかしら?と思ってきたんですけど、この際だから調べてみましょう。

それぞれほぼ同時期に生まれ当初から使われる場面に差があったようです。平仮名は和歌や物語などを美しく芸術的に書くのに用いられ、片仮名は漢書や仏籍の注釈、古辞書の漢字の訓み方など学問や実用的な場面で用いられていました。 戦前は、正式な文字とされて公文書で使われ、学校教育の場で平仮名よりも先に教えられたようです。

國學院大學メディア 「なぜ日本人はひらがなとカタカナを使い分けているのですか?

 ここの、『戦前では正式な文字とされて公文書で使われ、学校教育の場でひらがなよりも先に教えられたようです』 

ふーむ、宮沢賢治の作品でカタカナを使われたのはこういう事かしら。でも他にも調べてみると、男の文字⇒カタカナ、女の文字⇒ひらがな、というのもあり。漢文に通じる、とか。

宮沢賢治のワザと説(漢字ではなくカタカナにする事で色んな風に取れるようにしたのでは?という仮説)が1番面白いお話でした。

マッキーの「雨ニモ負ケズ」きっかけで、沢山の今迄知らなかった事を知れます。楽しい(^^)私が雑学好きなだけかもですが(笑)

 

この青く晴れ渡る

空を見上げるときに

君の心に雨が降らないように

君が笑うとき君の胸が

痛むようなことなどないように

 歌詞を眺めていて思ったのが、このアルバム全体に幾度となく繰り返されるテーマ、

心に嘘をつかない

心に嘘をつかずにすむように生きていく。

その宣言というか、いざないというか。

マッキーのファーストアルバムの題名は「君が笑うとき君の胸が痛まないように」

 この頃から既に、「心に嘘をつかずにすみますように」と願っていたんですねぇ。

 

こないだミスチルの桜井さんがTVで言ってたんですけどね、

願いを込めて「こんな俺になりたい」とか「こうなったら良いのに」っていうものを音にして作品にしているんですよね。

 マッキーと桜井さん。同じシンガーソングライターとしてお互いをリスペクトし、対談などを行っていました。音楽を作る方向性は同じなんしゃないかなって。

引用したのと似たような事をマッキーも言ってましたから。「太陽」で”歌は自分との約束だ”っていうのはつまり、こういうことだと私は理解しております。

 

最後に。

この曲の最後に「AMAZING GRACE」がリプリーズされており。私が勝手に黄金パターンと読んでるアルバムの流れなんですけど、後に「Turtle Walk 」が入っていて当てはまらず。

リプリーズするのは曲のループをさせたいからだけじゃないんだな、と思いました。

AMAZING GRACE」での”神の恵み”が、マッキーの中では”晴天”なんだろうな。

そんな事を思いつつ、私が動画を張れるのは最後。

 話の流れで曲を聞いてもらえるの、凄く良かったんですけど、しょうがない。

今後は私もアルバムを引っ張り出してきたいと思います。