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ツインタワーズがおくる、槇原敬之(ほぼ)全曲レビュー ライトあるみのブログ

04. 武士は食わねど高楊枝

あなたはアルバムの発売前に内容を確認する方ですか?

まっさらな気持ちで聞きたいから、と全く何の情報も入れない方もいれば、マッキーが出ているありとあらゆる媒体から、前情報を入手される方もいるでしょう。

…いや、普通のファンはそこまで1か100かではなくて(笑)環境によって、とか、アルバムごとに違うのが一般的(仕事やその他で忙しくて、送られてきたファンクラブの会報も読めないって時もありますよね…)

私はですね、ライブも絶対セットリストだけは見てから行く派。もちろん、アルバムも曲名だけは先に確認します。

情報を入れてから、色々妄想するのが好きなんです(笑)

タイトルから連想されるものが当たっていると嬉しいし、裏切られるのも快感です。

(どっちでも喜べる、そんな自分はおめでたくて好き)

 

EXPLORER」の新譜情報を初めて見た時、一番ファッ!? (゜Д゜;)となったのが、今回の「武士は食わねど高楊枝」

言葉としては知っていましたが、これを曲のタイトルに持ってくるセンス…。

やはり槇原敬之恐ろしい子!!

 

歌詞の内容に目を向けますと。

なんてドラマのような展開(笑)

2時間ドラマ出来ちゃいそうです。主役は誰かな。長谷川博己さんとかどうでしょう。ちらっとしか見た事ないのでアレですが『ホリディラブ』の中村倫也さんとかは似た設定だったかと。

 

仕事を失くし、妻に逃げられ、子どもの替えのパンツも無く…踏んだり蹴ったりの主人公。

でも、ここでちゃんと気がついた彼はえらい。

その道にしか歩けなくなった理由は自分の選択の積み重ね。

全部人のせいや環境のせいにしていたら、彼の心はずっと成長しないままだったでしょう。

最後に残ったのが子供で、その笑顔を見た時に心の中の宝物を見つける様は『パンドラの箱』のようだなと思いました。

昔、心の中の宝物は子どものことかと思っていたんです。

が、今読み返してみたら違うな、と。

 

心の中の宝物は、『誇り』ですね。

子供に心配をかけまいとする行動。

おなかが鳴る音を聞かせたくない、というのは恥ずかしさもあるかもしれないけれど、子どもに引け目を感じさせないという大人としての矜持。

武士は貧しくて食事ができなくても、あたかも食べたかのように楊枝を使って見せる。武士の清貧や体面を重んじる気風をいう。また、やせがまんすることにもいう。(goo辞書より引用)

 タイトルの意味はこれです。

 

どんなものでも大事にしてくれる

人の元にいたいと思うのだろう

 赤線を引きたい重要ポイントはここ。

忘れがちだけど、重要な事。

 

主人公は心を入れ替えて、今後の人生を生きていくのでしょうね。

それでも人間だから忘れたり間違えてしまう事もあるかもしれない。

それでも、最後の最後にでも誇りだけは忘れて欲しくないと願います。

 

ふと似てるな、と思ったのが、美輪明宏さんの「ヨイトマケの唄

描写をたんたんと描く歌詞に、色を付ける声の演技。

言葉の力を最大限に花開かせ、虚(物語)を真に変える『聴かせる』という能力。

これこそ、歌手。

シンガーソングライターの意味であり、意義。

 

実はそんなに好きな曲ではないのです(爆)

いや、他の好きな曲が突き抜けすぎているので、あえて言うと、です。

それでも、こうしてじっくり読み返してみると色々教えられるなぁと。

もうずいぶん前に、マッキーがこの曲を書いた年齢を超えました。

マッキーとの年齢差は死ぬまで変わりませんが、マッキーがその年齢で出した作品は定点で、いつの間にか追いつき追い越していきます。

そこで、今私の年で槇原敬之は何を世に出したのか?調べて、それを聞いてみると感想が変わったりして面白いですし、同じ年でマッキーが何を考え興味を持っていたのか?を感じるのは少し彼に近づけるようで、くすぐったい体験です。おすすめ。

 

EXPLORER」の頃のマッキーと今のマッキー。そして、昔の私と今の私。

思考の変化はありそうですが、奥の奥、魂の変化はそうないだろうな、なんて思いつつ、本記事はおしまいです。

新しい今のNEW槇原が描く世界は、どんな世界なんでしょうね。この曲のタイトルのような驚きをまた、体験出来たら嬉しいな、と思いますね。