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ツインタワーズがおくる、槇原敬之(ほぼ)全曲レビュー ライトあるみのブログ

07. 不安の中に手を突っ込んで

アルバムの表題曲がきましたね。

いつもよりちょっとだけ、しっかり書かねばという気になります。いや、ほんのちょっとですよ(笑)私は私なので、それ以上のものは書けません。

 

しょっぱなからファンキーなサウンドで立ち上がり、気分が上がります↑↑

ライブなら「行くで!」と戦闘態勢に入るような(戦闘=踊る、ってことです)

…最後にライブに行ったのはいつのことか…コロナめ…踊れないじゃないか。クラブに行かない私が唯一踊れるのはライブ位。発散できないですね、しくしく。

そんなサウンドなのに、歌詞は

不安は何も書かれずにただ
上に穴だけ開いた箱

これですよ。

『不安』をこんな表現にするって天才としか。

上に穴だけ開いた箱…。バラエティでよく使われる、罰ゲーム的な(?)アレですね(笑)

ジャケ写見てもらいたいんですけど、マッキーの表情も良いです(笑)

 

お約束のカドカワから引用しますと、

僕はミュージカルを作るのが夢なんですよ(中略)それには絶対にみんなで歌うシーンが欲しくて。

コーラスの豪華な事。

ゴスペラーズの村上さん、北山さんに、いつもの実力派(今井さん、加藤さん等)がいて、そりゃ格好良いわ。しっかり本格的なゴスペル調なのも、頷けますね。

 

例え噛みついてきたとしても
その手を離さず掴み出して
噛みついたりしない
カワイイ未来に変えてやる

 ここ、ナウシカを思い出したんですけど、皆様いかがです?

キツネリスのテトが登場するシーンですよ。

あのシーンでナウシカの性格が垣間見れるのがとても良いんですよね。

『怖くない』

ナウシカはいつだって、自分の身より他者を優先させるキャラクター。

慈愛に満ちていて、ジブリで一番好きなキャラです。

…ほうほう、不安の中に手を突っ込んで、不安を手なづける今曲の主人公はナウシカと同じ属性か(違う)

 

この後の歌詞は、完全に同意できない自分が居ます。

別冊カドカワにこの曲を作った経緯が載ってますが(10年前に発行されたムック)ある日TVを見ていたマッキー、インタビューされた30代の方が『ホントは子供が欲しいんですけど、先行き不安な状況の中で、生まれてくる子供が幸せかどうかわからないから、作れない』とのたまった(原文まま)らしく。それに憤慨して作ったそうな。

鎌倉時代なんかでも(中略)人がゴロゴロ死んでいたわけじゃないですか。(中略)なのに自分たちのことしか考えてないなんて(中略)本末転倒な世の中だなって。

 いや、マッキーは至極当たり前な事を言っておられる。

だがしかし、インタビューされた30代側生まれの私からすると、幼い頃からいけいけどんどんの日本で暮らし、一番良い歳頃にバブルを経験した世代には絶対にわからない『不安』が我々にはあったんですよ。就職氷河期正規雇用についていた人が少なかった世代です。私なんかもずーっと契約社員で色んな職場で働いて、最後の最後縁あってバイトから正社員になりましたが、あそこで選択を変えていたら、正社員になったことの無い人生だったかもしれません。今の40代はそんな人がゴロゴロいます。

だから『先行き不安な状況』は自分の職についての言葉だったのかもしれない。だとすると、とても誠実な返答だったかもしれないんですよね。

 

人は自分の物差しで人の言葉を図ります。

それが自然だし、しょうがないと思うんですが、もう少しだけ想像してみると、もしかすると別の表情が浮かんでくるかも?

 

マッキーの場合は憤慨したエネルギーを作品に昇華したわけですから、怒るな、とは言えないんですけど。

少しだけ視点を変えて自分以外の人の状況を考えて欲しいなって。

(でもそうしたらこんな名曲生まれないってのは、永遠のパラドクスですね^^;)

 

昔、母親に言われた言葉。

『嫌な事は何も考えずに、もくもくと動けんばええねん』

はい、彼女は体育会系の人間です(笑)

これ、真理ではあるんですけど。

私はもーのーすーごーい文系タイプの人間(笑)

『そんなん出来たら苦労しない!』

小学生の叫び。納得できない事は身体が動かない子供でした。あ、今もか。

場面は覚えてないけれど、辛かった感情は覚えてますね。泣いてたかな?

まぁ、母娘関係ってそういうもんかもしれません。気質が似てたら楽なんでしょうけど、なにせ「Tag Team」(あ、ヤバ。リンク張ったけど、ももたさん自身がレビューになってないかもって書いてる回だった…)

 

種を植えないと花が咲かないことが、みんな、わからなくなっている。

 そうだよな、とは思いつつ、個人的な幸せの自由も少しだけ考慮したい。幸せにさせてあげられないから、子供を諦めるっていうのもまた、思いやる心なのかもしれないんですよ。。弱気だけど。

 

何だか暗くなってしまってごめんなさい(笑)

いや、めっちゃ良い曲なんですよ?

生まれたばかりの赤ん坊に
あげたいと思う未来を描いて
掴み出せ

You're gonna make it happen!!

 書いてる事はその通りだと思いますし。

 

幸せって感情だから、自分で作り出せるものですもの。

 

この曲を聞いて、各々が「えいや!」と不安の中に手を突っ込める気持ちになれば良いな、と思いつつ。

レビューを終わろうと思います。

(しかし、あの箱にチャレンジする方々は、凄いなぁと思います。楽しむ姿勢が大事なんでしょうね、きっと)