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ツインタワーズがおくる、槇原敬之(ほぼ)全曲レビュー ライトあるみのブログ

02. PENGUIN

今回は「PENGUIN」
この記事で書きましたが、若かりし頃の私のマッキーBest3の一曲。
他にもこの曲が好きな方が多いのか、ライブでも何度かやってくれて、嬉しかった想い出。
生で初めて聞いたのが『魅惑の舞浜』だったかと。
『魅惑の舞浜』こそ、ファンクラブ限定で映像化して欲しいライブです。きっと売れる…。

 

そうそう、ももたさんにこの当時の資料(ファンクラブ会報)を読ませてもらったので、前記事の補足。
「UNDERWEAR」は「男はつらいっすねぇ」の元タイトルになっていたそうで、歌詞そのまま下着姿でも尊敬されてたいって事と、流行り廃りが少ない下着みたいな音楽を作りたいって所から来てるそうですよ。
ふむふむ、奥が深いな。

 

補足はこれ位で、本題に戻ります。

先程書いたように、好き過ぎてねぇ。
何度エンドレスリピートで聞いたことか。
…思い返してみるに、私はきっとこの曲を槇原敬之全楽曲の中で一番聞いたと思います。

 

昔の恋を客観的に見ている主人公。
この形は「Witch Hazel」と一緒。
はい、私の好きな傾向ですね(笑)
違うのは、「Witch Hazel」は恋を失くしてからそう日数が経ってないのに対して、「PENGUIN」はかなり年月を経ているという事。
「PENGUIN」の恋は終わってから数年~十数年位経ってそうです。

 

その昔。
あるファンサイトきっかけで、マッキーの歌に合わせた小説を書き始めました。
直木賞作家の小川洋子さんが佐野元春さんの歌をモチーフに短編を書いたように、歌から物語の断片が零れ落ちる経験は、小説書きにはよくある瞬間なのではないでしょうか?

数本書いたのち、「PENGUIN」も短編小説にしましたが、その時にこの2人はどんな関係性なんだろう?と延々と考えたのが思い出されました。
結局、私は「姪×叔父」にしました。
義理の兄×妹、男×男、の関係性もアリだなぁと妄想しましたが(この時が一番楽しい)姪×叔父に落ち着いたのは、私の敬愛する小説家、連城三紀彦の「私のおじさん」(「もうひとつの恋文」収録)に触発されてだと思います。

 

話もしてキスもしたけど
出会わなかった二人

誰も許してくれないなら
一緒に逃げようって泣いたよね

 

ここの歌詞が肝というか。
・話もしてキスもしてるのに出会わない⇒出会う必要が無かった(身内だから)
・この恋はどうして許されなかった?⇒社会のルールに反してる?それ程強い拘束力があったんでは?
と思ったんですよね。

 

ちなみに、ももたさん提供資料によると、この曲の仮タイトルは『夫婦心中96』
なんとな~く、近松門左衛門?的な?というニュアンスを感じます。
添い遂げたくても添い遂げられない(曽根崎心中では遊女と男の恋物語)ならばいっそあの世で…。

 

しかし「PENGUIN」の世界観は空の青と赤と白の市松模様が印象的な、爽やかな風を感じる楽曲です。
心中とは重たいですが、それを選ばなかった『IFの世界』で、彼は優しくそっとあの頃を思い出している印象。しかも少し誇らしげに。

 

イントロのギターリフが良いです。
繰り返される音符は、過去に戻る鍵なんでしょうか?
他の楽曲でもよく使われる手法。
でも普遍だから聞く者も安心して過去に意識を飛ばす事が出来るのですね。

 

最後に。
東京事変の亀田さんはこの「PENGUIN」のこの歌詞が大好きだそうですよ。

たぶん君と僕とじゃ行けない場所が 二人の行かなきゃいけない場所

記事はこちら

 

マッキーがこの曲で特に言いたかったのが、

「ごめんなさい」の一言を 誰かに言えばそれで良かった
あの頃にはもう戻れない

の部分なんですって。

 

私が一番好きなのは、

愛していたのもの 
ホントだったと笑ってる

「本当」と書かずに「ホント」と書くのが、主人公の照れであり、切なさであり、今の彼女への昇華された想いだなぁと思います。

 

音楽の全方位天才(笑)
編曲家槇原敬之、渾身の一曲、「PENGUIN」(North Pole Version)も素晴らしい一曲。

一緒に貼り付けますので、聞き比べて楽しんでくださいませ。