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ツインタワーズがおくる、槇原敬之(ほぼ)全曲レビュー ライトあるみのブログ

09. SIMPLIFY

「太陽」も9曲目。

「SIMPLIFY」訳すると簡素化、簡単にする、など。

 

He's gonna be responsible to simplify his own life

(彼は自分の人生をシンプルにする責任があります)

 ネットの翻訳機能を使いましたが、ふーむ、中々含蓄がありますな。

 

彼は雨の中、人とぶつかり、水溜まりに落ちて泥だらけになったまま歩き続けています。そんな様子を笑いながらすれ違っていく傘の群れ。

槇原敬之と雨。

これまでも様々な曲で雨が降り、我々ツインタワーズは考察してきたわけですが。雨は悲しい出来事だったり、困難の象徴だったりが多かったかと。舞台装置の意味合いの雨もありましたが、この曲に限っては違いますね。

”泣きっ面に蜂”というか、困難の時は追い打ちをかけるように辛い出来事が重なることが人生では多々ある。

汚れたままでも歩いて(生きて)いかなきゃいけない。そんな様子を笑う人々。

…どうしても、事件の時の状況を想像してしまいます。

いつか太陽は昇り、泥も乾いて、叩けば落ちるようになります。でも、叩いても落ちない泥もあるわけです。

それを誇りと言い切るの格好良いな、と。

泥、というとこの先レビューするであろう「LOTUS IN THE DIRT」が思い浮かびますが、本記事では割愛。

 

彼女は美容師のカウンセリングが下手だったのか、意思伝達がうまくいかなかったのか、大事に伸ばした髪を15cmも切られて、キレます(笑)

そりゃキレるだろうって共感すると同時に、あまりにも衝撃的に感じてこの曲のイメージが「髪を切られて憤慨する歌」として、私の中にありました(笑)

いやいや、テーマそこじゃないから、と昔の自分に突っ込みいれたい位ですが、髪は女の命であり、仕事をちゃんとしない美容師にムカついてですね、アルバム聞いてたらスキップしちゃう事も(^^; ごめん、マッキー。

 

曲はラップ?調であってるかしら?とラップを調べてみましたら、ラップの元になったのが南アフリカのグリオ(Wikipedia参照)らしく。

歴史上の英雄譚、遠方の情報、各家の系譜、生活教訓などをメロディーに乗せて人々に伝えることを本来の目的としている。

 こちらの方が内容的にしっくりくるな、と。

イントロの感じもアフリカンなコーラスや効果音が入ってますよね。

自分の想いをリズムに乗せ、話し言葉的に歌いあげる。

これまでここまでラップ的な曲は無かったと思うので(そしてこの後も無かったかと)貴重な楽曲です。

 

「太陽」はブレイクスルー作品。中でも、「SIMPLIFY」はそれを強く感じます。

マッキー自身はこういう音楽も好きだったんだろうな、というのは完成度の高さから伺える。今までの楽曲でも「韻」を踏んでいましたが、メロディメーカーな分、旋律が求められていた。でも、歌詞にあるように

誰かのせいにしながら

生きるつもりはないだけなんだ

許しを請いながら

生きるつもりはないだけなんだ

 事件の後なので、どうしてもマッキーからのメッセージと受け取ってしまいがちです。が、今の私が感じたのは、CD売り上げのために音楽制作会社やスタッフに求められたものを作る姿勢や、反対されてもどうしてもやりたいと頼み込んで作っていた形から、もっとシンプルに自分が作りたいものを作っていく、自分の気持ちに正直になる、そういう宣言をした曲なのかな、と。

 

このレビューも、いつもよりSIMPLIFYにしたいと頑張りましたが、これ位が限度(笑)

20年も前の作品ですが、まったく時代を感じさせない、なんならBTSが歌って踊ってそうな(笑)雰囲気さえ感じる、不思議な楽曲。

 

『Simple is best』

 単純に自分を信じて生きていきたいですねぇ(これが中々に難しい)