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ツインタワーズがおくる、槇原敬之(ほぼ)全曲レビュー ライトあるみのブログ

07. 親指を隠さずに

マッキーの歌声とピアノ。

非常にシンプルな曲です。

最初淡々と入り、徐々に盛り上がっていく感じがちょっとゴスペル?ちっく?コーラスが入ったら天使がラブソング歌ってくれそうな?雰囲気を感じます(音楽的素養がないため、こんな表現で申し訳ない…)

詞だけを読むと、こんなメロディがつくとは想像つきません。が、一度聞くとこのメロディしかあり得ないと思う。

マッキー天才。いや、マッキーを聞き続けているがゆえのしっくり感なのかもしれませんが。

 

「親指を隠しなさい」

子供の頃に親からこう言われたことってありますか?

無い方も多いかも。

日本の迷信、どんどん聞かなくなってますよね。私は子供の頃祖父母と暮らしていたので、祖母から聞いて、小学校位までは実践していたと思います。

…というか、最近街中で霊柩車をあまり見ない気が。お家で亡くなる方も減りましたし(手続きが病院より少し面倒になる…んですよね?)霊柩車自体も時代のニーズにあわせて、シンプルでわかりにくくなってるのかも。

今月…というか、ここ何年か霊柩車自体見ていないと思います。

(病院とか斎場が近くにある方は見てるのかしら?)

 

話戻って。

なぜ、親指を隠したのか?というと、昔は親指の爪の間から魂が出入りしていると考えられていたらしく。

また、亡くなってすぐは魂もその辺を飛び回っているという考えから(49日を過ぎたらあの世に行く)親指から入ってこられないように隠した、というのが通説らしいです。江戸時代後期にはこの風習の記述があるそうな。

昔は外灯もなく、妖怪や幽霊も今より信じられていましたからね。怖い気持ちから”親指を隠す”行動させてもおかしくないかも。

 

だけど、歌の主人公は道端の親子に気がつかされるわけです。

亡くなった人に向かって、手を合わせるということ。

人生の旅を自分より先に終えられた方に対して、尊ぶ心。

しかも赤の他人に向かって、です。

このお母さん、本当によくできた人だ、と感心します。

親の死に目に会えないとか

不安な迷信を

まだ幼い子供に教えたりするその前に

もっと教えておくべき

大事な事がある

例えば誰の命も限りがあることとか

 ここの歌詞が好き。

子供の頃は…誰の命も限りがある、とは中々理解しづらい気がします。

核家族化の弊害ですね。

でも、その時理解できずとも、真剣に渡された言葉は人の体のどこかに残って、理解できるようになった時に思い出すんだと思います。時限爆弾のように(例えはアレですけど)

霊柩車に向かって手を合わせる事も、幼い子供が親指を隠すことも、『理解できていない行動』という観点からは同じ事なのかもしれません。

でも、大人が少しでも他人に対して暖かい方向にもっていってこそ、その後の世界が変わる。そんな事を思わせる曲です。

 

普通の人達の日常を切り取って歌にする。

このアルバムはシングル以外、どのアルバムよりテーマがハッキリしていて、BGMには向かないなぁ、と(誉め言葉)

というか、ミュージカルっぽいかも。各楽曲のショートストーリーをつなぎ合わせた舞台があったら、面白そう!と思いますね。