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ツインタワーズがおくる、槇原敬之(ほぼ)全曲レビュー ライトあるみのブログ

10. チキンライス

「これがクリスマスに流れる日本やったら、日本は大丈夫やでって思う」

ダウンタウン槇原敬之が作るクリスマスソング「チキンライスができるまで…」より)

元はダウンタウンの浜ちゃんに楽曲提供した「チキンライス」

「LIFE~」発売の約1年半前にシングルで発売された曲のカバーです。

「HEYHEYHEY」の出演から始まった企画曲ですが、クリスマスの定番になりつつあります。特にフジテレビではよくかかっていたような。

冒頭の引用は、まっちゃんが書き上げた歌詞を読んだマッキーが感動して発した言葉。

クリスマスソングにしませんか?と提案したのはマッキーでしたが、予想以上に良い歌詞(マッキーの心を打つ歌詞)を読んで、ちょっと涙目になりつつ興奮気味に話してました。

メロディはこれぞ槇原敬之、「世界に~」と同じく、マッキーらしさが全開で、穏やかで温かく、優しく流れ込んできます。

 

まっちゃんが後日ラジオで言っていたのは、

・自分が書いた詩は60点位の出来と思っていた

・マッキーが詩を直すと思っていたが、+5点位しか変更していない

・だが、曲がつくと「…これが、いいのよ」(本音)

・プロのミュージシャンってこういう事なんやな

毒舌のまっちゃんが褒めてる…!

マッキーファンとしては非常に非常に嬉しい言葉でした。

 

曲の背景はこの位にして、歌詞の話をいたしましょう。

主人公は松本人志少年。

家が貧乏だった彼は、せっかくのたまの外食でも気を使って頼むのはいつも「チキンライス」(安いから)

親はそんな彼を見て、「この子はチキンライスが大好きやな」と笑っています。

ちゃうちゃうちゃうねん、子供ながらに高いもんは食べたら申し訳ないから、一番安いもん頼んでるねん。

この気持ち、非常によくわかります。

うちも父親が破天荒風味(笑)だったため、子供の頃は貧乏でした。中学時代からやっと世間並みになったかな。小学校の時は外食してもお安い物しか頼めませんでしたね。…というか、まっちゃんより酷いかな。『父親が家族分のメニューを頼んでいた(安い物限定)』選択権は子供の私にはありませんでしたね。幼稚園児とかならまだしも、小6とかでもそんなんでした。だからなのか、食べ物に対して興味が薄い方だと思います(美味しい物は好きだけど高い物は避けちゃう傾向あり)洋服を買うにしても、何を買うにしても、『好きなもの』を買うというより『親の負担が少なく済むもの』を必死に探す子供時代でした。貧乏ってそういう思考を子供に植え付けます。

だがしかし、「チキンライス」ではこんなエピソードも『親孝行』の一つになるんですよね。

確かに、親の懐具合を考える→親への思いやり→親孝行、に繋がるのかもしれないですけど。よくよく聞いて深く考えると、?(はてなマーク)は湧き上がります。自分が親になったからこそ、特に。

そして、歌詞の中でもありますが、高い物を頼んだら次回はないかもしれない恐怖から安いチキンライスを頼んだ、と読み取れる歌詞もあり。そうなるともう、親孝行じゃないんですよね。

 

だがしかしそんな事を言い出したら、チキンライスのもつ『ノスタルジー』的な良さを否定しちゃうような気がします。

このアルバムのコンセプト『ダウンタウン』は下町って意味ですよね?

人情ドラマは時として、人と人との距離が近くて、うっとおしくなることも。

いつでも帰っておいで」のレビューでももたさんが書いてましたが、ともすれば愛と勘違いしやすい依存の影が見え隠れします。でも、本当の愛って見返りを求めない愛=無償の愛。

ただ、なかなかそこに至れないからこそ、無償の愛を人は尊ぶのではないかと。

 

話がちょっとそれちゃいましたね。

やっぱり俺はチキンライスがいいや

一番大事な部分は『が』に変わった最後の歌詞。

ここはマッキーが『が』に変えたといわれています。

 

主人公は、自分の子供時代の行動に『誇り』をもっているからこそ、『が』と言える。

結局、人生は自分に『YES』と言えるかどうか。

 

そう思えるよう、人生の選択をしていきたいと思いつつ、本記事は終わります。

…チキンライスを考えていたら、チキンライスが食べたくなるのは不思議ですね(単純なだけ?)