TwinTowerTours (a)

ツインタワーズがおくる、槇原敬之(ほぼ)全曲レビュー ライトあるみのブログ

06. 君の声を待つ夜

「本日ハ晴天ナリ」の中でも、とても好きな曲です。

歌詞も歌い方もめちゃくちゃ優しい。

場面設定としては、大事な人の看病をする夜。

「Listen To The Music」の一曲目、「蒼い月の夜〜Lady In Blue〜」を思い出します。

「蒼い月~」もとても優しい歌声で、心を抱きしめて貰っているような気分になりました。

でも、一番大事な部分。歌のテーマは違います。

同じ気持ちを分け合うことは

できないかもしれないけど

解ろうとすることが何より

大事だと君は教えてくれた

 まるっと書いてしまいましたが、一音一句全部必要な言葉。

君を心配しているのは同じですが、「君の声を待つ夜」は”その先”へ行っているような。

お互いがお互いを思い合ってる関係は、とても居心地が良いですね。

 

長生きしよう」でも感じましたが、マッキーが描く歌詞の主人公たちも年齢を重ねました。

「PHARMACY」の頃は、誰かがそばにいる意味を忘れないようにしよう、とか、別に何でもない時こそそばにいる二人でいよう、とか、”自分”や”二人”が主役だったなぁ、と。

でも、復帰以降、『君』と『僕』がはっきりと分けられた感じがします。

それは『個』を描くというより、『個+個』の関係性の尊さ、というか。

お互いがちゃんと自分で立っているからこそ、お互いを大事に出来る。

世界に一つだけの花」に通じますね。

この頃、マッキーが考えていたことを曲から垣間見れます。

 

…昔のマッキーなら、こんな風景も比喩や暗喩をもっと用いて、文学的に描いたと思うんですけど、TT相方ももたさんがこの曲で書いてる通り、子供からお年寄りまで年齢関係なくわかりやすいストレートな詩が増えてきました。

作家井上ひさしが言うには、

いちばん大事なことは、自分にしか書けないことを、だれにでもわかる文章で書くということ。

 これは私も気をつけているつもりです(あくまでつもりですけどね^^;

日本語って難しくて(言語は全て難しいですけど)同じ音でも違う意味とか、曖昧な理解でもそれほど会話に困らない分、それぞれがニュアンスで使ってしまっている単語が多すぎると思うんです。

そういう誤解を排除していこうとしているのかしら?と。

難しいチャレンジと言えますが、初期の神がかった比喩に酔いしれていたファンとしては、物足りない感もあったりします。

だがしかし、経験を重ね、年齢と共に失ったもの、得たもの。そんな今だからこそ、染みる部分もあったりしますね。

どうも思い返すに、恋人や夫の看病ってほとんどしたことがありません。大人って薬飲んで寝てれば治る、と思います(苦笑)いやいや、鬼嫁ではありませんよ、念のため(多分)

自分が病気の時も人に看病ってほとんどしてもらった記憶がないなぁ。薬飲んで寝てれば(以下略)

この曲を真に共感したのは、子どもが出来てからかもしれません。

私にとっての「君」は子どもで、このタイトルには非常に思い入れが強いです。

冒頭に引用した歌詞、風邪だけでなく他の事象でもとても大事な、人間として生きる上での姿勢ですよね。

これを書いてる2020年は『鬼滅の刃』が空前の大ブームなんですが、主人公の炭治郎は鬼でさえも気持ちを汲み取りわかろうとします。そんな優しさを見るたびに涙しているんですが、『痛み』を知るからこそ人は強く優しくなるのだな、と。

こんなに良い歌なのに、2003年のアルバムツアーでのみ歌われていて、残念です。

ピアノの弾き語りツアーとかでセットリストに入らないかしら?と願っています。やって欲しいなぁ。