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ツインタワーズがおくる、槇原敬之(ほぼ)全曲レビュー ライトあるみのブログ

06. 青春

どうしてこの曲をこんなに好きなのだろうか?
凄く不思議だったのですが、今回じっくり考えてみるに、“各要素のバランスが絶妙だから”かもしれません。

 

青い春、と書いて「青春」
調べてみると、学生時代だけじゃなく30歳位まで青春と定義しても良いとの記述が。
うーん、でもやっぱり、学生時代、それも高校~大学位が一番ピタッときますね。
熟れてない果物を青い果実というように、未成熟なもの=青い、という認識。
ただ、未成熟で料理する方が美味しい食材もあり、劣るんじゃなくて、無限の可能性を秘めている…。
不思議な状態です、青春ってやつは。
実際の経験と繋がってしまう言葉なので、その頃の自分がどうだったかで、受け取るイメージが変わってしまう気がします。

 

さて。
僕のものになればいいのに」で、
これまでの俯瞰から見た物語のような歌詞が、この辺りから生々しいもの、温度を感じるものに変化していったように思います。
と書いたのですが、「青春」に関しては彼の詩世界の『ハイブリッド』
物語であり、生々しくもあり、この後に続くメッセージもがっつり入っています。
この黄金律よ。
素晴らしいの一言。

 

サウンドもスローなテクノポップ
はい、私がテクノポップ好きなのも、この曲を好きな理由の大きな一つ。
電子音には中毒性があると思いませんか?

オフボーカルにして聞いてみると、歌詞の世界を全く想像できません。
ガチャガチャチャカポコ色んな音がしていて、カオスな感じがあの頃の心の中を映し出しているような気がします。
メロディラインは柔らかく優しいんですけど、時折入る効果音がスパイスのように効いてきます。
マッキーが詩先だからこそ、出来る世界観。
際立たせ、支え、広がりを持たせ、時をつかさどり、最後に落とす。

 

チェンジャーで機械音にされた声で、最後に言うのは
『信じよう 馬鹿みたい』
相反するようで、でもその矛盾が同居するのが我々人間の心の中。

 

ここまで書いて、資料を引っ張り出してきて読んだのですが(それでハンスパについても事実が判明したので今日追記しております)ラストの歌詞、

簡単だよ はだしになればいい

読んでるスタッフに、『でもはだしになるのって難しいんだよね』と言っていたマッキー。
彼が書くメッセージは、自分が出来ているから書いてるんではない。
でも、なぜこんなにも胸にくるのかというと、彼が自分の中から生み出している言葉だから。そこに嘘はないんです。
神様でもない人間という動物は、完璧とは程遠い存在です。
そうでありたい、そうなりたい、そうあるべきだ、という姿を言葉として表せても、『その時』その瞬間しか、約束できない。

あの日 誓い合った
気持ち 間違いだとしても
終わるまで 愛と信じよう

私既婚なのですが、二回婚姻届けを書いたことがあります。
二回目は今の旦那さん。
一回目は『生涯の恋人』の彼です。
あの頃私達は大学生と短大生。
アホな二人だと思うのですが(笑)役所に用紙を貰いに行って(意外と簡単にもらえるのですよね、用紙)二人で書きました。
19歳と18歳、若かったなぁ。
大切な想い出と共に、機械音の最後の声が聞こえます。

信じよう 馬鹿みたい

 

冒頭で、各要素のバランスが絶妙⇒だから好き、と書いたのですが。

書いてるうちに昔を思い出しました。

婚姻届けの事なんて、もう長い間思い出してもいなかったのに。

 

やっぱり、私の人生のそこここに槇原敬之

マッキーの曲から離れるならば、私はいくつもの大事な想い出を捨てる事になるでしょう。それは寂しい、寂しすぎる。

 

幻のコンサート、『shadow pictures』

オープニングの introduction for CIcada の次、一曲目は『青春』だったそうです。

しかも、マッキーのたっての希望、という事。

このライブ、このセトリでやって欲しいという声が多いです。ももたさんも言ってた。私ももちろん聞きたいです。

 

2018年の『"TIME TRAVELING TOUR" 1st. Season』の日替わりで『"EXPLORER"』以来、久しぶりに聞けましたが、やっぱり良かった。
好きな方も多い、隠れた名曲。

それが「青春」

 

後に、「GREEN DAYS」とか、「不器用な青春時代」といった「青春」がキーワードの曲が作られます。

どれもこれも良いですが、爽やかさや無鉄砲さではない、混沌とした割り切れない時間を描いた今作が、私は一番好きです。